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ヒント3: 非正弦波信号の測定時の誤差、クレスト・ファクタ誤差
よく誤解されることに、「ACマルチメータは真のRMS測定を実行するので、正弦波についての確度仕様があらゆる波形に適用される」という考えがあります。実際には入力信号の形状は測定確度に非常に大きな影響を与えます。信号波形の形状を記述する一般的な方法にクレスト・ファクタがあります。クレスト・ファクタは波形のRMS値に対するピーク値の比です。
パルスの場合、クレスト・ファクタはデューティ・サイクルの逆数の平方根、つまりSQRT(周期をパルス幅で割ったもの)と等しくなります。一般に、クレスト・ファクタが大きいほど、高調波に含まれるエネルギーも大きくなります。どのマルチメータにも制限帯域幅があり、その帯域幅を超える高調波は検出できません。高い周波数成分を無視して、低い高調波成分のみを測定すると、測定したRMSは実際よりも低い値を示します。クレスト・ファクタ誤差は予測でき、常に読み値が小さくなります。多くの場合、クレスト・ファクタ誤差は「負の符号」を用いて記述されています。クレスト・ファクタが既知の場合は、この値を測定値に加えて正しい値を求めることができます。
クレスト・ファクタに起因する追加誤差 | |
---|---|
クレスト・ファクタ | |
1 - 2 | 0.05% |
2 - 3 | 0.15% |
3 - 4 | 0.30% |
4 - 5 | 0.40% |